睡眠障害(不眠症)

コラム

(2019.07.05作成、2020.05.30更新)

皆さんは毎日ぐっすり眠れていますでしょうか。ストレス社会でもある現代では、睡眠を十分にとれていないと感じている人は年々増えており、日本では成人の実に3人に1人に上るとされています。

睡眠が不十分ですと、昼間のだるさや眠気、集中力の低下などが起こるのは皆さんも経験されたことがあるかと思います。

しかし、それだけでなく高血圧や糖尿病などの生活習慣病になりやくすくなったり、さらにうつ病の危険性も増加するというデータもあるのです。

「眠れていないな」と感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。

睡眠チェックシートでご自分の睡眠をチェックしてみましょう

睡眠チェックシートで点数をつけてみましょう。

合計点数が・・・
0~3点:睡眠障害(不眠症)の可能性が強いです。
4~5点:睡眠障害(不眠症)の可能性がややあります。
6点~:睡眠はおおむね良好です。

となります。

3点 2点 1点 0点
寝つきはよいですか? 良い 少し悪い かなり悪い まったく寝つけない
途中で目が覚めますか? ほとんどない 少しある かなりある ほとんど毎日
早く目が覚めますか? ほとんどない 少しある かなりある ほとんど毎日
睡眠時間は足りていますか? 足りている あまり足りていない かなり足りてない まったく足りていない
睡眠の質はどうですか? 良い まあ良い あまりよくない とても悪い
昼間の気分はどうですか? 普段通り あまりよくない かなりよくない とても悪い
体調はどうですか? 普段通り あまりよくない かなりよくない とても悪い
昼間は眠いですか? 眠くない 少し眠い かなり眠い とても眠い

みなさん、いかがだったでしょうか?

0~3点だった方は、睡眠障害(不眠症)の可能性が強いので、以下をご参照ください。

4~5点だった方は、睡眠障害(不眠症)の可能性が否定できませんので、注意が必要です。

そもそも、なぜ睡眠は重要なのでしょうか?

1.脳を休ませるために大切です。
我々ヒトは、すべての動物の中でもっとも脳が発達した生き物です。

日中の活動中は常に脳が動いています。

考えていない、ボーとしていると思っている時でも、脳は動いています。

では、脳は一生働き続けているのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。

やはり脳にも休息の時間が必要です。それが睡眠です。

特に、ヒトはほかの動物よりも脳が発達しているので、睡眠によって脳をしっかり休ませることが重要なのです。

2.健康な身体の維持に大切です。
睡眠中は、成長ホルモンが分泌されます。

成長ホルモンは成長期では身体の発達、また大人になってからも壊れたり古くなった細胞を新しくすることで身体を治し、疲労回復します。

皮膚の細胞も、日光に含まれる紫外線を浴びることで壊されますが、成長ホルモンが分泌されることで新陳代謝が起こり、新しい細胞に置き換わっています。

お酒を飲むと肝臓に負担がかかりますが、これも成長ホルモンが治してくれます。

プロラクチンという乳汁分泌に関係するホルモンや、卵子を作り生理を促す女性ホルモンも、睡眠中に分泌されます。

3.免疫に大切です。

最近、免疫とも大きく関係していることがわかってきています。

免疫とは、身体に細菌やウイルスが侵入してくると、白血球やリンパ球を動員してそれらを撃退し、感染症にならないようにする、身体が生まれつき持っている機能ですが、この機能も維持するためのメンテナンスが重要です。

実はこの免疫に関係する各種体内物質が睡眠を促進させることがわかっています。

免疫がアクティブに活動しているということは現在外敵に攻撃されている途中なので、そこに身体のエネルギーを集中させなければなりません。

そのため、通常の身体活動を一旦停止させる必要があります。睡眠中は身体活動が最低限になりますから、免疫の方にエネルギーを集めやすいわけです。

また、逆に睡眠自体が免疫を活発化されることも知られてり、お互いに補強し合う関係と考えられています。

4.メンタルの安定に大切です。

後ほど説明しますが、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。

簡単に言うとレム睡眠が浅い睡眠、ノンレム睡眠が深い睡眠です。

ヒトはストレスにさらされると、浅いレム睡眠が増えて、深いノンレム睡眠が短くなることが知られています。

そもそも進化の関係で見ると、原始的な動物にはノンレム睡眠はなかったと考えられています。

動物が進化し、特に哺乳類などになると脳が発達してきて、レム睡眠だけでは十分に脳を休ませることができなくなり、より深く眠ることで脳を休息させるノンレム睡眠が誕生してきたとされています。

哺乳類の中でもヒトは脳が特別発達していますから、ノンレム睡眠が必須不可欠です。

あまり睡眠がよくなく、十分なノンレム睡眠がとれていないと、脳が休まりません。

脳が休まらないと、記憶力、集中力、思考力などが落ちます。

さらにメンタルを安定させる力も落ちてきて、何を考えてもネガティブな方向に行く「うつ状態」になってしまいます。

睡眠はメンタルの安定にとても重要なのです。

睡眠障害(不眠症)とはなんでしょうか?

睡眠障害(不眠症)とは、睡眠にトラブルが生じていて、障害が生じていることを指します。

米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medi- cine, AASM)が発表している睡眠障害国際分類第3版(International Classification of Sleep Dsiorders, Third Edition, ICSD-3)では、「眠る機会や環境が適切であるにもかかわらず、睡眠の開始と持続、安定性、あるいは質に持続的な障害が認められ、その結果、何らかの日中の障害をきたす場合」に定義されています。

つまり、単に「眠れない」だけではなく、そのために日常生活に不都合が起きている場合に、初めて診断されます。

日中の典型的な症状としては、疲労、気分のすぐれなさ、いらいら、全身倦怠感、認知機能障害などがあります。

社会生活や職業生活に支障が生じ、生活の質が低下します。筋緊張、動悸、あるいは頭痛といった身体症状もあります。

より重篤な不眠症では、自動車事故や職場の事故の危険性が高まります。

統計では、日本人で不眠を感じている人は大人の20%、さらに日常生活に支障が生じている方は10%程度とされています。

日本の人口が1億2000万人ですから、およそ1200万人が睡眠障害(不眠症)の可能性があるわけです。

【睡眠障害(不眠症)の種類、関連疾患は、実はたくさんあります(ICSD‐3)】

実は、一口に「睡眠障害(不眠症)」といっても、関連疾患を含めると、多岐にわたります。参考までに、下に一覧を載せておきます。

最新の分類では、原因別ではなく、罹病期間でわけています。

1.不眠症

慢性不眠障害

短期不眠障害

その他の睡眠障害

孤発症状と正常範囲の異型

臥床時間過剰

短時間睡眠者(ショートスリーパー)

2.睡眠関連呼吸障害群

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

中枢性睡眠時無呼吸症候群

睡眠関連低換気障害群

睡眠関連低酸素血障害

孤発症状と正常範囲の異型(いびき、カタスレニア)

3.中枢性過眠症群

ナルコレプシータイプ1

ナルコレプシータイプ2

特発性過眠症

クライネ‐レビン症候群

身体疾患による過眠症

薬物または物質による過眠症

精神疾患に関連する過眠症

睡眠不足症候群

孤発症状と正常範囲の異型(長時間睡眠者)

4.概日リズム睡眠・覚醒障害群

睡眠・覚醒相後退障害

睡眠・覚醒相前進障害

不規則睡眠・覚醒リズム障害

非24時間睡眠・覚醒リズム障害

交代勤務障害

時差障害

特定不能な概日睡眠・覚醒障害

5.睡眠時随伴症群

ノンレム関連睡眠時随伴症群

レム関連睡眠時随伴症群

その他の睡眠時随伴症群

6.睡眠関連運動障害群

むずむず脚症候群

周期性四肢運動障害

睡眠関連下肢こむらがえり

睡眠関連歯ぎしり

睡眠関連律動性運動障害

乳幼児期の良性睡眠時ミオクローヌス

入眠時固有脊髄ミオクローヌス

身体疾患による睡眠関連運動障害

薬物または物質による睡眠関連運動障害

特定不能な睡眠関連運動障害

孤発症状と正常範囲の異型(過度断片的ミオクローヌス、入眠時足部振戦および睡眠時交替性下肢筋賦活、睡眠時ひきつけ(びくつき))

7.その他の睡眠障害

睡眠障害(不眠症)の代表:慢性不眠障害(慢性不眠症)

睡眠障害(不眠症)の代表は、慢性不眠障害(慢性不眠症)です。

これにもやはり、診断基準が設けられています。

<診断基準>
A.以下の症状の1つ以上を本人が述べるか、親などが見ている
1.入眠困難
2.睡眠維持困難
3.早朝覚醒
4.適切な時間に就床することを拒む(ぐずる)
5.親などがいないと眠れない

B.夜間の睡眠困難に関連した以下の症状の1つ以上を本人が述べるか、親などが見ている
1.疲労または倦怠感
2.注意力、集中力、記憶力の低下
3.社会生活上、家庭生活上、職業生活上の機能障害、または学業成績の低下
4.気分がすぐれない、いらいら
5.日中の眠気
6.行動の問題(過活動、衝動性、攻撃性)
7.やる気、気力、自発性の低下
8.過失や事故を起こしやすい
9.眠ることについて心配し、不満を抱いている

C.眠る機会(睡眠に割り当てられた十分な時間)や環境(安全性、照度、静寂性、快適性)が適切であるにもかかわらず、上述の睡眠・覚醒に関する症状を訴える

D.睡眠障害とそれに関連した日中の症状は、少なくとも週に3回は生じる

E.睡眠障害とそれに関連した日中の症状は、少なくとも3か月間認められる

F.睡眠・覚醒困難は、そのほかの睡眠障害ではよく説明できない

 

この中でも、最も重要なのは、A1~3です。

これが主な症状となります。

1.入眠困難:

ベッド、布団に入ってから、実際に眠るまでに時間がかかることを指します。

不眠の中でも、もっとも多いパターンです。

目安は平常より20~30分以上かかっていて、本人がそれで困っている場合に、判断されます。

2.睡眠維持困難(中途覚醒):

眠ったあと、何度も目が覚めてしまうことです。

頻度は年齢などによって変わります。

また、覚めてしまったあともすぐに眠れるのであれば、問題ありません。

3.早朝覚醒:

通常より30分以上早く目が覚めてしまうことです。

特にそのあと眠れない場合に判断します。

特にストレス下にさらされると、みられやすいことで知られています。

 

なお、「熟眠困難(熟眠障害)」というものもあり、これは「質が悪い」「爽快感がない」あるいは「寝ているのに体力が回復しない」といったものです。

入眠困難や睡眠維持困難(中途覚醒)にしばしば伴うとされます。

それのみの場合は、「不眠障害と定義するのに十分ではない」とされています。

 

このいずれかの症状が特に週3回以上、3か月間以上持続するようになると、Bに記されている睡眠に伴う日常生活での不具合が生じ、長期になるほどその程度も大きくなります。

なお、頻度と持続期間は当てはまらないものの、その他は全て満たす場合は短期不眠障害と診断します。

またこの一部に、精神疾患による睡眠障害(不眠症)があります。うつ病、躁うつ病、統合失調症、神経症(特に不安神経症、不安障害)、認知症などでみられます。

この場合は、睡眠障害(不眠症)の治療も行いますが、同時に本体の精神疾患の治療も行わないと、根本的には治りません。

では、どうやって治せばよいのでしょうか?

厚生労働省の研究班が、睡眠障害(不眠症)に悩む方たちに発表した、<睡眠障害対処12の指針>というものがあります(厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費 「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」平成13年度研究報告書)。

 

睡眠障害(不眠症)に対する具体的な対処法を12個挙げたものです。

指針は箇条書きで記載されていますが、解説を載せておきますので、ご参照ください。

 

1.睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
・睡眠の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない
・歳をとると必要な睡眠時間は短くなる

解説:
そもそも睡眠時間には個人差があります。〇時間寝ないとダメ、というものはありません。

その人が「十分眠れた」と感じ、日中に支障をきたしていないのであれば、睡眠は問題ないと言えます。

年齢によっても異なります。

年齢を重ねるほど眠れなくなるといわれることがありますが、それは正解で、実際データ上も年齢とともに時間が短くなることがわっています。

ただ、生活習慣病などは7時間前後の睡眠時間の方が最も危険性が低くなるとわかりましたので、7時間を1つの目安にするとわかりやすいでしょう。

 

2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
・就床前4時間のカフェイン 摂取、就床前1時間の喫煙は避ける
・軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング

解説:
カフェインはコーヒーや紅茶、煎茶、烏龍茶など、私たちが普段飲用する飲み物に広く含まれている物質です。

世界で最も消費されている覚醒作用物質ともいわれています。

主な飲料に含まれるカフェインの量を見てみましょう。

飲料 カフェイン量(飲料100lmあたり)
玉露 約160mg
コーヒー 約60mg
モンスターエナジー 約36mg
紅茶 約30mg
レッドブル 約30mg
煎茶 約20mg
烏龍茶 約20mg
コーラ 約10mg

カフェインは,アデノシンという睡眠を促す物質が作用するのをブロックするので、カフェインを摂取すると眠りにくくなります。

カフェインの半減期(濃度が半分になる時間)は3~4時間といわれているので、就寝の4時間前には飲まない方がよいと考えられます。
喫煙は、タバコに含まれるニコチンが睡眠に悪影響を及ぼします。

ニコチンも覚醒作用があり、即効性があり、1時間程度続くとされます。

ですので、睡眠の1時間前には喫煙しないほうがよいとされます。

少し本を読んでみたり、音楽を聴いたり、好きなお香やアロマをたくことで、リラックス効果が得られて、睡眠に入りやすくなります。

また、ヒトは体温が急激に下がったときに眠気を催すといわれているので、就寝前に体温を上げる意味で、入浴や軽いヨガ、筋弛緩トレーニングなどの運動がよいでしょう。

運動での発熱は2時間後に下がってきますので、就寝時間の2時間程度前に行うのがよいでしょう。

お風呂はあまりに熱いものには入るとかえって身体が活発になってしまうので、38~40℃程度のお風呂がよいと思われます。

就寝の1時間ほど前に入ると、就寝時間のころに体温が下がってきて、睡眠に入りやすくなります。

 

3.眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
・眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする

解説:
昔は「早寝早起きがよい」と言われました。

もちろん悪くはないのですが、それが目的となって、眠くもないのに無理にベッドや布団に入っても、かえって睡眠にはよくないことがわかってきています。

また、寝よう寝ようと考えすぎると、かえって脳の活動が活発になって、覚醒状態のほうが上回ってしまいます。

「眠くなったら、寝ればいいや」くらいの姿勢が良質な睡眠にはちょうどよいのです。

 

4.同じ時刻に毎日起床
・早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる
・日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる

解説:
これも最近の研究で、実は寝る時間ではなく、起きる時間が重要であることがわかってきました。

起きる時間を一定にすることで、体内の睡眠リズムが一定になり、睡眠時間も適切な時間になりやすいのです。

また、土日など仕事がない日に昼すぎまで寝るのは確かに休日の贅沢な過ごし方ではありますが、あまり平日と時間がずれすぎると、体内の睡眠・覚醒リズムがすぐには戻らず、翌週の月曜日につらくなってしまいます。

よって、なるべくなら、休日も平日と同じ時間に起床したほうがよいのです。

 

5.光の利用でよい睡眠
・目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン
・夜は明るすぎない照明を

解説:
皆さんは、ヒトの体内時計が25時間というのはお聞きになったことはありますか?

実はヒトの体内時計は24時間から1時間ずれているのです。

そのままであれば、毎日1時間ずつずれていくので、生活が大変になりそうですが、実際はそうはなりません。

 それは、ヒトの身体は日光を浴びることで、体内時計をリセットする機能を持っているからです。

 リセットしてから、約15~16時間後に眠気が出現します。

 家の中の明るさは、太陽光の1/10以下のため、室内にこもっているとこのリセット機能が働きません。

 その生活を続けていると、身体が冬のモードになり、睡眠が浅く長くなります。

 よってなるべく直射日光を浴びるか、せめて雨戸・カーテンをあけて外光を室内に取り入れることが重要です。

 午前中、なるべくなら10時までに浴びるとよいとされます。

 なお、夜に強い光を浴びてしまうと、身体が今が昼なのか夜なのかわからなくなってしまいます。

 ですので、夜に強い光を浴びないようにすることも大切です。

 日光は、そのほかにも体内でビタミンDを生成するのに必要など、身体的にも重要です。

 浴びる時間ですが、エビデンスの高いものはまだないようですが、WHOはビタミンD生成のために5~15分程度を勧めているようですので、1つの目安にはなるでしょう。

 日光をしっかり浴びることで、質の良い睡眠をとり、心身ともに健康になりましょう。

 

6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
・朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く
・運動習慣は熟睡を促進

解説:
食事をするということは、実は複雑な動きです。

まず五感がフル動員されます。食べ物を見ることで、私たちは「おいしそうだな」と思います。

誰かが料理をしてくれていれば、必ず音も聴いているはずです。

触ったりもしますし、匂いをかいだりもします。そして「おいしいな」と味わいます。

この五感にかかわる身体の部位と脳はダイレクトにつながっていますし、五感は最終的には脳が受け取り解釈するので、脳の働きそのものとも言えます。

よって、食べることで脳は活発に動くわけです。

同時に噛む、飲み込む、消化する、最後は排泄物として排出する、これらの身体の動きも伴います。

食べることは、脳と身体を同時に覚醒させる重要な行為なのです。

逆に言えば、夜食にたくさん食べてしまうと、本来就寝する時間に脳と身体が起きてしまいます。

よって、なるべくなら夜食は避けたほうがよいですが、どうしてもお腹が空いて食べないと仕方ないときは最低限にした方がよいでしょう。

 

7.昼寝をするなら、15時前の20~30分
・長い昼寝はかえってぼんやりのもと
・夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響

解説:
睡眠には段階があり、浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠があります。

30分程度睡眠をとると、深いノンレム睡眠の中の深い層に入ることが分かっています。

昼寝でそこまでの睡眠をとってしまうと、睡眠のリズムが崩れてしまい、本来の睡眠をとるべき夜に眠れなくなってしまいます。

また、最近の研究で、昼寝は15時くらいまでに済ませておいたほうがわかっています。

夕食後の睡眠は、夜間の睡眠に悪影響を及ぼすとされています。

 

8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
・寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る

解説:
睡眠制限療法といいますが、睡眠障害が起きているときはあえて眠くなるまで床に就かずに、リビングなどで過ごし、眠くなってからベッド、布団に入ります。

そもそも眠りに入る時間の2~4時間前が最も寝つきにくいので、そこで無理に横になっても眠れないという思いだけが強くなり、かえって不安感などが増し、余計に不眠に拍車をかけます。

また、睡眠日誌をつけ、実際の睡眠の詳細を知ることも大切です。

 

9.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
・背景に睡眠の病気、専門治療が必要

解説:
イビキは激しい場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が何度も止まることが特徴で、同室で寝ている家族に気づかれることが多いです。

眠れていないので、日中に強い眠気に襲われます。

足のぴくつきやむずむず感は、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の可能性があります。

横になってから時には何時間も足がむずむずしたりして、眠ることができません。

ほかに周期性四肢運動障害では、足の筋肉が勝手に収縮して(動いて)、目が覚めてしまいます。

これらの症状がある場合は、専門的な診断、治療が必要です。

 

10.十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
・長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談
・車の運転に注意

解説:
上述していますが、睡眠障害(不眠症)が重症になるほど、日常生活や社会生活に支障をきたします。

交通事故の可能性も上昇します。

取り返しのつかないことになる前に、対策しましょう。

 

11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
・睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる

解説:
睡眠薬よりお酒のほうが安心だからと、寝酒をする方がいます。

お気持ちはとてもわかるのですが、実はアルコールによる睡眠はお身体に良いとは言えません。

アルコールは寝つきはよくするものの睡眠が浅くなるため、睡眠維持困難(中途覚醒)が多くなります。

結局、かえって睡眠の質は下がるのです。

また連続して飲酒していると容易に効かなくなってきますので、飲酒量が増えていくことも問題です。

 

12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
・一定時刻に服用し就床
・アルコールとの併用をしない

解説:
「睡眠薬はとても危険!」と思われている方が多いですが、正しく使用すれば決して危険ということはありません。

処方箋でお渡しするお薬は全て国がきちんと検査、管理しており、安全性が確かめられているものしか認められません。

また、自己判断で大量に服用すれば過鎮静といって意識がもうろうとなったりすることもありますが、適切な量で服用していればそのようなことはめったに起きません。

日本では1950年代に最初の睡眠薬である「バルビツール酸系睡眠薬」が登場しました。

確かにしっかり眠れるのですが、その反面耐性、依存性、離脱症状が出やすいお薬でもありました。

もしかしたら、その時に社会に広まった睡眠薬のイメージがいまだに残っているのかもしれません。

しかし、現在は「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」といったいろいろな種類の睡眠薬があり、患者さん一人一人にあった睡眠薬を処方することが可能になっています。

睡眠薬を処方する際は、例えば上述しました睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群などがないかを考えたり、背後にうつ病や神経症などが隠れていないかをお聞きします。

睡眠障害(不眠症)の症状の内容によって、処方する睡眠薬は変わります。

入眠困難が主なら超短時間、短時間作用型睡眠薬、睡眠維持困難(中途覚醒)なら短時間または中間作用型睡眠薬、早朝覚醒には中間または長時間作用型睡眠薬となります。

背後にうつ病があるなら抗うつ薬、神経症があるなら抗不安薬を処方することもあります。

適応障害、自律神経失調症といった、患者さんの置かれている環境に強いストレス要因があるなら、それを改善するアドバイスも必要です。

社会人の方、学生の方なら、必要に応じて休職、休学をお勧めし、診断書を発行することもあります。

睡眠障害(不眠症)が改善していないうちに自己判断で睡眠薬を中止すると、かえって悪化することがあります。

睡眠薬の減量、中止は、患者さんが「もう眠れるようになった」と安心感を持てるようになってからにすべきです。

また、「睡眠薬を服用して眠るから、夜更かししてもいい」ということも、もちろんありません。

一定の時刻にきちんと床に就くことが大切です。

アルコールと一緒に飲んでしまうと、効果が一定にならなかったり、副作用が出すぎたりしますので、注意が必要です。

このように、慎重を期したうえで、睡眠薬を処方します。

睡眠薬を処方する場合は、作用、副作用を細かく確認していく必要がありますので、定期的な通院をお勧めします。

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